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早朝から”偉大なるローカル線”山陰本線を下関から東進して出雲まで行く~2017年末山陰山陽四国縦断旅行2

九州を脱出した年末旅行2日目。

前日に購入した新しいレンズ”SIGMA DC 30mmF1.4″を抱えて下関から日本海側を東へ進みます。

やってきたのは早朝の下関駅。

時間は朝の5時頃。日も短い季節なのでまだ真っ暗です。

なぜこの時間にやってきたのか。前日の頁にも書きましたが、鉄道紀行作家の宮脇俊三氏が著書『旅の終りは個室寝台車』の最初に出てくる”にっぽん最長ローカル列車の旅”の章で「偉大なるローカル線」と表現された山陰本線の雰囲気と、この章で宮脇氏と相棒の編集者が早朝の門司・下関を出て延々と東に向かっていく長距離鈍行列車の旅の雰囲気を味わいたかったこと。この著書の中で宮脇氏は九州の門司駅を5時22分に出発し、終着駅の福知山には23:51分に着くという鈍行824列車で旅をします。私も氏に倣い早朝の偉大なるローカル線の旅をしてみたいなと。

私が乗り込んだ列車。

国鉄時代から使われていると思われる年季の入ったディーゼルカー2両。良いですねぇ~。

下関駅の発車ホーム。

長大で立派なホーム屋根が続きます。かつては本州(山陽・山陰)と九州を結ぶ要所だった風格十分の駅。今このような駅も少なくなっているのではないでしょうか。ディーゼルカー2両にはもったいない。

私が乗り込んだのは下関発5:39。宮脇氏が”にっぽん最長ローカル列車の旅”で乗車したのは1981年(昭和56年)11月4日で下関発が5:42だったようです。今日の旅とほぼ同時刻。本には”下関の町も駅もまだ眠っている”と書かれているのでおそらく同じような雰囲気だったのでしょう。

ごとごと走ること1時間半弱。今回の旅の中の大きなテーマであった阿川駅に着きました。

もう一つの理由はこれも鉄道関係の著書が多い作家の阿川弘之氏の著書『南蛮阿房列車』の”アガワ峡谷紅葉列車”の章で、自身の苗字と同じカナダのアガワ渓谷を訪ねる、、、という旅行記の中で、自身の出自である山口県にも山間の小駅として「阿川駅」があることが紹介されてあり、阿川駅とカナダのアガワ渓谷の祖先たちがつながっているというような創造をされており、これを読んで私もこの阿川駅を実際に見てみたいと思っていたのです。
前頁からの引用


時刻は7時を過ぎているのですがまだ薄暗い。阿川駅もまだ眠っていました。国鉄時代の駅舎が残る鄙びた小駅といったところ。降りる人も乗る人も無くです。こんなところだったのか。


無理やりカメラのISOを上げて撮影した駅名標。

やがて日も上がり車窓には日本海が見えてきます。

なかなかの絶景で海の色も綺麗。

下関発の列車は終着は益田駅。2両あった車両のうち1両は途中で切り離され単行列車で益田に到着です。

到着は9:54。ちなみに宮脇氏が乗車した長距離鈍行列車824列車の益田駅着は10:10。35年位前ですが列車の速度は大差ないです。速度が変わっていないのは車両の性能というよりすれ違いのための長時間停車が多いので、所要時間は結局のところそのような停車に引っ張られている気がします。

さて益田駅から先が18切符旅行者には辛いのです。偉大なるローカル線ですから普通列車が本当に少ない。明るいうちに米子くらいには行きたいところですが、列車がぜんぜん無いのです。無念ですが、特急列車で普通列車の接続がある駅までワープすることにします。特急券のほか乗車券も購入して1500円ほどの追加出費。この辺を支払えるのがが社会人の余裕です。

特急が来るまで30分ほど時間があるので益田駅前をウロウロ。

国鉄時代の駅っぽくて好き。こういった駅の2階は何があるのか気になってしまいます。

特急で東進しますが、車窓は相変わらず日本海。

湾や島が少なくなり、車窓の海もダイレクトに外海に面しており波が高くなってきました。冬の日本海です。


ふと見ると荒れた冬の日本海の堤防上を散歩する親子。年の瀬の12月30日ということもあり、この親子にとっても来年がよい年になりますように、、、と勝手に祈ってしまいます。

時折、漁村があります。

赤い石州瓦の民家。集落の向こうの海の波は高く、荒々しさを感じますが、美しい瓦屋根の家がつながっていると、豊かさを感じあまり寂しい雰囲気ではない。

列車の車窓から見える海。鉄道は車窓のためではなく移動のために線路は敷かれているので、景色そのものは車で絶景ポイントなどに行ったほうが絵葉書的には美しいと思うのですが、車窓の風景というのは何故こんなに惹きつけられるのでしょうか。純自然ではなく、自然風景に人の営みが加えられ、それが渾然となって美しさだったり力強さだったりを感じられるからかなと思います。

特急に揺られること約30分。特急料金を払ったにもかかわらず、年末の混雑シーズンで激混みで居心地が悪い思いをして降りた浜田駅。ここからはまた普通列車の旅です。


バスのような1両ディーゼルカーに乗り換えて浜田駅発。2時間半ほどかけて出雲市へ向けて東進します。

窓の外にはやはり日本海。

晴れてきて海の色は美しいコントラストです。偉大なるローカル線です。

13:46分出雲市駅に到着です。宮脇氏が乗車した長距離鈍行列車824列車の出雲市駅着は14:01。あまり変わらない時差。出雲市に着いたからには出雲そばで飯を食うことにしますが、本稿も長くなってきたので、続きは次回にしたいと思います。

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