「アザラシ猟反対」は正しいのか~2009年のカナダのアザラシ猟~

2009年のカナダアザラシ猟の記事を見つけました。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2591511/4018018(AFP通信)
毎年春先に行われるこの猟ですが、上記記事によると今年の総捕獲頭数は33万8000頭とのこと。
カナダのアザラシ猟については何回かこのブログでも扱ってきました(たとえばこちら)が、この猟について超簡単におさらいすると、カナダのニューファンドランド島周辺等でタテゴトアザラシ(Harp Seal)の赤ちゃんを捕獲し、毛皮を取るというものです。これに対し、グリーンピース、IFAW、PETAといったいわゆる「動物保護団体」が反対し、カナダ政府に対し猟の中止を求めています。
アザラシ猟についてこちらに上手くまとめられています。さすが農水省のサーバにアップされている文だけあって、過去の経緯、現在の動向(2006年のポールマッカートニー夫妻の反対パフォーマンス時までですが。)が淡々と書かれています。
日本国内でもカナダにアザラシ猟を中止するように求める署名活動を行っているサイトもあり、当サイトにもアザラシ猟の反対運動への協力を掲示板やメールなどで求められたこともあります。しかし、このカナダのアザラシ猟に対して、私は反対する理由を持ち合わせていないので、猟そのものには反対ではありません。よって、このサイトでもカナダのアザラシ猟に反対活動へは今のところ協力するつもりはありません。
もちろん個人的にはタテゴトアザラシの毛皮を欲しいとは思わないですし、アザラシ猟が私の経済的収入等の利益に直結するものでもないので、アザラシ猟に対して積極的な賛成もしませんが。。。
今後もカナダのアザラシ猟に対するいろいろな考えを持つ型が訪れると思いますので、私自身とこのサイトのカナダのアザラシ猟に対する考えを整理しておきます。
まず、カナダのタテゴトアザラシは毎年数十万頭単位で猟が出来るくらいの個体数がおり、増加するアザラシの「食事」によって漁業の対象魚類が減少しているという話もありますし、カナダには猟をするだけの種々の事情(猟によって収入を得ている猟師さん等)もあるでしょうから、異国から事情がよく分からない者が異議を唱えるのには相当慎重になるべき、と考えます。
猟の是非を判断する唯一の基準はタテゴトアザラシが減少し、絶滅の危機に向かっているか否かという一点のみと考えております。タテゴトアザラシが減っているという客観的なデータがあれば猟を含めアザラシの数を減らす行為には反対いたしますが、今のところ、そのようなデータを私は把握しておりません。
さらに、アザラシ猟反対派が唱える猟に反対する理由に、私を納得させるものはあまりありません。
というのは猟法に対する感情論のみが反対の根拠になっていることも見受けられます。上記したとおりアザラシ猟そのものを止めるか否かは、アザラシが減少しているかいないかからのみ判断すべきものと考えます。ですので、猟法が凄惨であるという理由だけで猟そのものに反対とする、というのには私は同調しません。猟法に問題があるならその改善を求めればいいだけの話です。
アザラシ猟自体は銃殺、もしくは金属が先に着いた棒(かぎさお・ハカピック )で殴り殺して行うようです。銃はともかく棒の殴り殺しが動物虐待ではないか!という理由で反対される方も多いようです。確かに人間の目から見れば凄惨な光景です。
でもアザラシ猟を行っている(行っていた?)ノルウェーの大使館のサイト(http://www.norway.or.jp/policy/environment/marine/sealing.htm)には「アザラシは、速やかに痛みを伴わない方法で殺すことが規定されています。猟の道具で許可されているのは、ライフル銃と特別なかぎざおのみです。成長したアザラシはライフルで、子アザラシはライフルまたはかぎざおを用いて殺します。かぎざおによる猟は原始的に見えますが、動物を速やかに殺すには最も適しています。」とあります。
よってカギサオによるアザラシを殴り殺す一見凄惨な猟法にも私は問題は無いのではと思います。
カナダ連邦漁業海洋省もサイトに「Canadian Seal Hunt – Myths and Realities(カナダのアザラシ猟-神話と現実)」というコーナーを掲載しております。
猟の反対派が猟法が悲惨であるとする根拠としてよく言われる「生きたまま皮を剥いでいる」という主張が真っ向から粉砕されており、その猟法も「人道的」であると書かれています。カナダ政府の言い分も100%正しいかどうか判断できるほどカナダのアザラシ事情に詳しいわけではないですが、反対派の意見ばかりではなく猟をする側の情報も知って双方を鑑みて判断するべきでしょう。とりあえず機械翻訳ででも良いと思いますが上記カナダの政府サイトは一見の価値ありです。
繰り返しますが、猟法に問題があるなら上記サイトの内容に対し、反対の根拠を述べ、問題の無い猟法を提示すればよいと思います。
アザラシ猟自体は一般的な日本人から見ると、見た目が凄惨なので残虐な猟だ!と直感で思うのも分かりますが猟の方法については上記の通りノルウェーやカナダ政府のような記載もあります。実は日本の家畜の屠殺方法のほうが非人道的かもしれません。どっちが残酷か比べはこのブログの主旨とは関係ないですが、日本人の感覚で「よくわからないけど見た目が悲惨そうだから」という理由で反対するのは安易でしょう。この猟法に納得できないなら、猟法の対案を反対派は出すべきと思います。どんな猟法なら納得するのかは私もわかりませんが。。。
またアザラシ猟自体の経済収入の話をすると「アザラシ猟による収入は猟師さんの年間の収入の数%だから無くなっても大したことない。」という主張を見たことがあります。とんでもない話です。この話、例えるならば「日本である会社に働いているAさんの4月の残業代は年間収入の数%だから4月の残業代はカットね」と他国の人から言われているようなもんです。アザラシ猟はカナダでは合法的なものです。それを他国の人が収入面に占める割合を指摘して収入を閉ざさせることは自分の身に置き換えると理不尽さが実感できるのではないでしょうか。同様な論法で国民総生産や漁業収入等に占めるアザラシ猟の割合が低いから猟の中止を求めるという論法には賛同できません。
「感情論だけで反対するのが何が悪いのか」、「かわいいアザラシが殺されているのは無条件で受け入れがたい!」といった方もいるかと思います。その感情自体は否定しませんが、賛同はいたしません。アザラシに対する感情論だけで他人(カナダの猟師さん)を悪人のような扱いをしたり、猟師さんの収入を脅かしたりすることは、少なくとも私にはできません。
いろいろな動物を殺しているのは日本の食糧事情でも同じでしょうし。毛皮といったぜいたく品が無くても人間は生きていけるというのも分かりますが、毛皮で線引きをするのはやはり感情論な気がします。食肉は?魚を食べるのは?プランクトンを食べるのは?植物は・・・?
私自身は以上のような考えですが、ヨーロッパでは違うようで、アザラシ猟が残酷という理由で毛皮の禁輸法案を可決しようとしています。(http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090417-OYT1T01122.htm)記事中には「欧州でのアザラシ禁輸の動きは、「かわいそう」という世論に突き動かされており、」とあります。これに対し「カナダ政府は、アザラシ猟反対派の主張が「感情論ばかりで根拠がない」(ゲイル・シェイ漁業海洋相)とし、禁輸で捕獲量が減ると、アザラシが増えすぎて生態系破壊につながると警告している。」としております。この読売新聞の記事の中身がカナダ政府の事情、EU側の事情が両方とも正しいとすると、私はカナダ政府の主張のほうに理があると思います。だって生態系のバランスを崩すほど増えているんでしょ?ただゲイル・シェイ漁業海洋相もどんなデータからアザラシが増え過ぎていると主張しているのかは知りたいところです。
というわけでこのアザラシ猟を中止するかしないかの焦点はいたってシンプル、タテゴトアザラシの数の増減のみだと思います。猟であれ他の要因であれ、減っているなら反対、それ以外なら猟に反対はしません。私自身もいろいろな情報をお待ちしています。
備考)カナダ漁業海洋省のサイトはアザラシ猟の情報がたくさん掲載されております。
たとえば「Seals and Sealing in Canada (カナダのアザラシとアザラシ猟)」カナダのアザラシとアザラシ猟を紹介するページです。「Canada’s 2009 Seal Hunt(カナダの2009年のアザラシ猟)」今年のアザラシ猟を紹介するコーナーですね。またSearchで「seal」と検索をかけると実にたくさんのページがヒットします。私もすべてには目を通せていませんがカナダの中でもこのアザラシ猟は大きな関心が持たれているのだなと思いました。興味のある方はぜひ読んでみてください。

1 comment to 「アザラシ猟反対」は正しいのか~2009年のカナダのアザラシ猟~

  • 「血を模した赤い絵具を塗って横たわる」

    スペインはバルセロナのカナダ商務官事務所前で3月15日、動物の権利擁護団体アニマルナチュラリス(AnimalNaturalis)のメンバーが、半裸の体に血を模した赤い絵具を塗って、カナダのアザラシ猟に抗議したそうです   カナダのアザラシ猟は毎年、春先に行なわれる

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