最果ての島の野生ゴマフアザラシ 2007年3月3日

北海道日本海沖に浮かぶ最北の島が礼文島です。レブンアツモリソウといった高山植物などが有名でもあり、またライダー・貧乏自転車旅行者・バックパッカーのような比較的若い旅行者が夏期に定番に訪れる島でもあります。

私は札幌で礼文島方面からむんむんと漂ってくるひりつくようなとっかり臭を嗅ぎながら、島への訪問を夢見ていました。もちろん とっかりハンターとしてはアザラシの濃ゆい季節に行きたい。しかも観光客の全くいない島を見てみたい、と思っていました。レブンアツモリソウには興味ない ですし。ひたすらとっかりを追い求め礼文島を目指していました。

礼文島のアザラシのピークはわかりませんが、礼文島の対岸にある抜海港のアザラシシーズンは冬。というわけで冬の訪問を狙っていました。しかし冬の礼文 島への航路は夏期に比べ激しく減便され、旅行者にとってはなかなか厳しいダイヤ(といってもこの季節の旅行者はほとんどいないでしょうが…。)しかも冬の日本海は大 荒れの天気になりがち。礼文行きの船が出る稚内にまで行ってみたものの欠航、あるいは礼文に行ったものの帰りの便は欠航になることだってあるでしょう。それでなくても、稚内まで行き、片道2時間の一日2往復くらいしかないフェリーに揺られなければ礼文に辿り着けませんから、時間に制約ができる社会人になる 前になんとか礼文島に行ってみたいと思っていました。


礼文行き決行日は2007年3月3日に決めました。この日にしたのは3月からフェリーが一往復増便し、1、2月に比べ旅行の計画が立てやすくなること、真冬時よりは気候が安定し、フェリーの欠航がなくなるかなと思ったからです。

出発の前に礼文情報をネットで集めますが、ひっかかるのは夏期の情報がほとんどでして情報収集の段階でいきなり苦戦します。冬期は上記で触れたフェ リーの減便以外にも、観光施設の閉鎖、レンタカー屋の閉鎖、宿泊施設の閉鎖等がなされ気候以外の条件もなかなか観光客には厳しい。観光客が少ないのでこういった施設が閉鎖するわけですが。
特にレンタカー屋さんの閉鎖は厳しい条件です。島内では路線バスもあるのですが、アザラシの捜索をし、そのアザラシを心ゆくまで堪能し、再びアザラシを求め他に移ってい くという世間からはちょっとずれたアザラシマニアの旅行にとっては、一日に数本、大きな道沿いにしか走っていないバスはちょっと使えない。となるとレンタカーなわけですが、離島のレンタカーは高いです。北海 道本土の2倍くらいの値段じゃないかな…。ただ今回は冬期ということもあり、レンタカーも需要が無い季節なせいか「24時間で8000円でいいよー」という業者さん を見つけたのでそこで借りました。冬期はいつもこの値段でやっているのかわかんないので、業者さんの名前は出しませんが、業者さんの数も少ないのでいろいろ探してみてください。

さて島内の足を確保したので島に向けて出発です。今回は札幌から夜行バスに乗ります。行き先は礼文行きのフェリーが出る稚内。夜行バスにしたのは、礼文行きの一日3本のフェリーのうちの1本は早朝6時 50分に稚内を出るのでそれに合わせるためです。自分で稚内まで運転していくと礼文に辿り着くころには疲れて寝てしまうでしょうし(^^;

今回のアザラシ旅行の行程はひたすら北上し、一直線に礼文島を目指す行程です。前日3/2の23:00に札幌発。翌朝6:00に稚内着。稚内発6:50 のフェリーに乗り礼文到着8:45。札幌から礼文島まで10時間の旅です。上部 に地図を載せましたが礼文島は小さな島。3時間もあれば車で走れるところはたいてい走ってしまうことができます誌目的もアザラシのみなので、当日の最終フェリーで稚内に引き返して くるつもりです。

では稚内のフェリーターミナルから今回の旅行の様子を紹介していきます。


稚内のフェリーターミナル。
今回のたびの実質的な出発点。
礼文島以外にも利尻島への船も出ます。
この二つの航路を合わせて「利礼航路」と呼ばれていました。

利礼航路のフェリー。
冬の離島への船旅というのはこう郷愁を漂わせるというか乗り込んだ瞬間にえもいわれない感触があります。
この感触は好き。


船首付近の私が陣取った二等室。
利礼航路は夏は引き上げ船のような混雑具合なると聞きましたが、本日この部屋を利用する客は私のみ。
他の部屋を合わせても20人乗っていたかどうか。
早朝便ですから、空いてたのかも。

船尾にあった屋外シートも全てシートが掛かっていました。夏期には使用されるのでしょうね。

航海中、雲の合間から見えた利尻島。
利尻富士の上部には雲が掛かっていました。

徐々に見えてくる礼文島の香深港。写真のように酷い天気です。天気は回復方向に向かっているのですが、晴天は絶望的かな…。

本日の天気はあいにくの雨。雪ではなくてこの季節の稚内で雨が見られるとは思いませんでした。本年は北海道も暖かったです。晴れると稚内からでも余裕で礼文島を見ることができるのですが、本日は見えていませんでした。

礼文島に入港し早速上陸です。上陸後レンタカーを借りてアザラシ捜索にでます。島北部にアザラシ臭が濃いように感じていましたが、ひとまずレンタカー屋 のお兄ちゃんにアザラシがよく見られる場所を聞きます。レンタカー屋のお兄ちゃんによると船泊方面で見られることが多いが、波の状態によっては島の西側に 出ることもあるとのこと。相手は野生の動物なので絶対にどこにいるということは無いのでしょう。礼文島は東海岸に沿って道路が縦断してありますが西海岸は 道路はほとんど無いという状況です。ひとまず東海岸を北上します。
雨が降るほどの気温ですから道路のアスファルトが出ていて運転がしやすかったのはあり がたかっです。

出発はフェリーターミナルの香深(かふか)集落。町役場もあり礼文の中心集落です。島の東側を北上します。香深から上泊集落にかけてはまさに海沿いを走 ります。アザラシがいてもおかしくないような岩場が続きますが、発見できず。島を貫く大きな道路(道道)は上泊集落からちょっとした山を越え金田ノ岬側の半島をショート カットして船泊集落に向かいますが、アザラシ捜索目的の私は海岸に沿って金田ノ岬に向かう細い道路を走ります。

この細い道路に入ったとたん海側に堤防が出てきます。直接海が見えなくなったので時折停車しては海を眺めます。程なく岩場に転がるアザラシを発見しました!数は20頭くらいかな。種類はゴマフアザラシです。


大きい写真(190KB)

岩場に転がるゴマフアザラシです。
距離は80~130mくらいかな?肉眼でも何とか確認できる距離です。

動画(0.97MB)

左と同地点でアザラシが転がっている動画。

ひとまず礼文島でアザラシを見ることができてほっとします。ここはあとでじっくり見に来ることにして、とりあえず島を一巡りしようと思い移動を続けます。
上泊~金田 ノ岬は岩礁が続きアザラシが転がっていそうでしたが見つけることはできませんでした。金田ノ岬から船泊湾にかけては岩礁に混じって砂浜が続きあまりアザラ シが転がっていそうではなかったなぁ。船泊湾からスコトン岬にかけても発見できず。ただスコトン岬付近にたどり着いたときは雨がひどくなってきたので、こ の辺の捜索は後に回して、島の南側方面に繰り出します。


金田ノ岬から船泊湾。岩礁が続きます。
島の先端は波が高かったです。

船泊湾奥部は砂浜が続いていました。
雰囲気はサハリンやカムチャッカみたいな雰囲気?
管理人はサハリンもカムチャッカも行ったことは無いのだけど。

香深集落中心部。中心部はなかなか賑やかです。

桃岩集落へ向かう道路。夏季は有名な一部のバックパッカーとかライダーとかそういった類の旅人に人気のある宿泊施設があるので一部の旅人にとっては聖地のような場所ですがこの季節はひっそりとしていました。

地蔵岩付近。島の西側は断崖が続きます。
道路が整備されていないので車で近づけるのは一部だけ。この日は西側でアザラシを見かけることは出来ませんでした。

島をうろうろしている最中に見かけたオオワシ。
漁港のテトラポッドの上に止まっていました。

島を一回りしたものの、アザラシを見かけたのは上泊~金田ノ岬の間でのみでした。次はここのアザラシをじっくりしっぽり見に行きます。


アザラシ岩礁全景

動画(1.4MB)

礼文島のアザラシたちです。

動画(638KB)

波が打ち寄せてもたくましく転がるアザラシたち。
私も生まれ変わったらぜひともアザラシになってごろごろして暮らしたい。

わざわざアザラシを見に来た訪問者を訝しがるような
視線で見つめるアザラシです。

アザラシを眺めた付近の集落。
日本とロシアの中間のような雰囲気だと思いました。
家の作りは日本なのですが、木が少ないせいか日本とは異質の土地です。

さて今回の訪問でも何人かの地元の方の話を聞くことが出来ました。海を眺めていた礼文島在住の八十○歳のおいばあちゃん、アザラシを見た場所の前で暮らしているおじさん、船泊の海岸にいたとき通りかかったおじさん、フェリーターミナルのお姉ちゃん等々です。

皆さんの話を統合すると「アザラシを見られるのは島の北部」「アザラシを見られるのは初秋~初春が多い」といったことです。また80代オーバーのおばあ ちゃんの話で「今年の冬は暖かいせいか岩ノリの生育が良くない」「昔は昆布を拾う人もいたけど、今は昆布を取る人はいない、海も荒れてきている」といったこと を話していたのが印象に残っています。
またアザラシを見かけた場所をうろうろしていたときに話しかけてくれたたおじさんによると今年は暖かいせいかアザラシの数が少ないく、いつもなら数十頭は岩礁にあがるとのこと。

続いては先ほど訪問をし損ねていた島最北のスコトン岬へ。ここはアザラシの目撃情報も多いようなのでアザラシを期待します。


スコトン岬。礼文島の最北で、どん詰まりってな感じです。真冬の日本海の岬らしくどんよりとした寂寥とした風景。私はそんな空気が嫌いじゃないです。売店等の設備がありましたが全て閉店。夏なら賑わうのかな。

礼文島・スコトン岬は「最北限」として売っています。
日本の最北端は(北方領土を除くと)北海道の宗谷岬ですからそれに遠慮しての名前のように思えます。ややこしいといえばややこしいですが…。写真は「最北限」のトイレ。

スコトン岬。岬とそのさらに北にある無人島・海驢島。
海驢島はトド島と呼ばれていますが、海獣ファン的にはおかしいような気がします。海驢は「アシカ」と読みますから…。トドは私のPCでは鯔と変換されます。アシカは海驢と変換されますが。

「最北限のスコトン岬」の標柱とともに。
風は相変わらず強かったです。

大きな画像(280KB)

海驢島の沿岸を双眼鏡で覗くと
なにやら妙な影が…。

もしやのアザラシでしょうか…。
管理人としては微妙なところです。
この影は経験上アザラシっぽいとは思いますが。

動画(481KB)

違う角度の写真。あんまり鮮明な写真ではないですが…。これが私のデジカメの限界です。
動画はアザラシか確認できる代物では無いのですが、雰囲気だけでも伝われば幸いです。動画では横揺れしていますが、これは風による横揺れのおかげです。三脚を使っているのですが、それでも揺れます。

スコトン岬から海驢島まで1kmほどあります。
ものすごく渡りたかったです。
無人島なので観光客にとって冬期は渡る術が無いです。

さてさて名残惜しいものの礼文島を後にします。日帰りはやっぱり短いなぁ…。


礼文島を後にします。
船は朝と同じやつ。

礼文のフェリーターミナル。
稚内より気合の入ったターミナルでした。
稚内にとってはともかく、礼文にとっては命綱に値する航路です。その辺がフェリーターミナルの整備の違いにつながっているのかと思いました。

礼文島の香深港から見えたホテル。
なかなか立派なホテルが建っています。

アザラシを見ることができて満足のできる訪問でした。お土産やさんはしまっていて観光のオフシーズンだ実感した旅でしたが…。アザラシマニアの皆さん、冬期の礼文に大挙として押しよせ、とっかりどもを見るために人間がやってくることを知らしめましょう。
これを書いてて思いましたが冬期に礼文を訪れた観光客の目線で書いた礼文島の訪問記としてはかなり斬新なのかもしれません。そういやいろいろなところで「仕事できたの?」ときかれたので、仕事以外で島外の人はあまり来ないのでしょうね
冬期の礼文島に行きたがる旅行者のみなさんの参考になりましたら幸いです

2007年3月26日作成
2007年4月7日公開