~家を買う③~団地の耐震性について考えてみる~

家探しを始めて、団地型の住宅の購入も有りなんじゃないかと思い始めた私と妻。

我が家で家を買うに当たって「団地」は重要なキーワードになるので少しイメージを書いておきます。
団地というのはwikipediaでも該当項目がありますが、まさしく箱型の4~5階建ての建物が私のイメージする「団地」。主に日本住宅公団(現UR都市機構)によって1950~70年代に建てられた昭和の香りが色濃く漂う建築物です(公団以外にもうちの社宅のような似たような団地型の建物ものもありますが。。。)。宮崎駿の映画「耳をすませば」の主人公が住んでいる家が団地ですね。小さい部屋にごちゃごちゃ物が詰め込まれて人が暮らしている感じ。

そして団地の購入を検討し始めてからほどなく出会ったサイトがこれ。日本住宅公団が建てた団地売買を専門的に取り扱う会社である東日本住宅株式会社のサイト。こちらのサイトでは売りに出されているたくさんの団地が見られます。例えば1000万以下の部屋特集コーナーを見ると、200万円くらいから物件が見つかり、なかなか驚くべき価格で売買されています。

団地が安いのは当然理由があり、なんといってもその古さが最大の理由でしょう。なんせ昭和30年代から建て始められており、築40~50年クラスがざらにいます。どうせリフォームしてしまう予定なので設備の古さは気にしない私と妻ですが、東日本大震災を見ても、やはり耐震性という観点は気になります。団地の耐震性はどのくらいあるのでしょうか。

建築基準法は最近になるにつれ、より厳しく耐震性が求められるようになっていることは当然です。昭和56年に耐震基準が大きく変わり、ここを境に建築物は旧耐震基準と新耐震基準に分類されており、中古マンションを買うなら新耐震を選ぶべきといわれております(安全性を確保するために耐震基準を高めたものが新耐震基準ですから当然です。)。

では、旧耐震基準で立てられた古い団地は大きな地震が来たら潰れてしまうのでしょうか。私も古い団地を購入しようかなと思いましたが、一方でその耐震性は気になり調べました。結論から言えば以下のような資料を基に、「構造や立地をそれなりに考えれば団地は簡単に潰れることは無さそうor周りの新耐震基準の建物と遜色の無い耐震性を持っているのではないか」と思っております。団地の購入を検討される方の参考になればと思い、そう考えるかまでに至った経緯を記しておきます。
(とはいえ私も以下の内容に何ら責任は持てませんので、ご判断はご自分でお願いいたします。なお、この手の議論はインターネット上でも盛んに議論されています。)

まず鉄筋コンクリートで構成されるマンションや団地には壁式構造で構成される建物とラーメン構造によって構成される建物に分類されるそうです。聴きなれない言葉ですがラーメン構造は、柱と梁により構成されている構造です。一方、壁式構造とは、柱梁が無く壁により建物を支える構造です。壁式構造は壁で建物を支えるため、高層建築には向かず、5階建てくらいまでの建築に多く使われているそうな。このラーメン構造と壁式構造の違いが一つのポイントになるようです。詳しく違いを知りたい方は検索してみてください。いくらでも解説したサイトが引っかかります。その上で以下の資料を見て行きます。

古いマンションの耐震性について、国土交通省が平成19年(平成22年に改訂)に出したマンション耐震化マニュアルがあります。このP3に「建築基準法施行令が昭和56年6月に改正され、耐震基準が変更されている(新耐震基準)。新耐震基準が適用される昭和56年以前に建設された旧耐震基準の分譲マンションの約100万戸については、耐震性能が劣っている可能性がある。なお、昭和46年1月に柱の帯筋間隔(鉄筋コンクリート柱の軸方向主鉄筋を取り囲むように、一定の間隔で帯状に巻く横方向の鉄筋の間隔)の規定が強化されており、それ以前のものについては特に要注意である。」やはり旧耐震時の建物の耐震性は怪しいのと、旧耐震でも昭和46年を境に規定が変わっているのですね。

阪神大震災での被災事例からの分析では
「中層の鉄筋コンクリート造(以下、「RC造」)・壁式構造やプレキャストコンクリート工法(以下、「PC工法」)の建物は、壁量が多いため、旧耐震基準のものでも一般に耐震性は高く、わが国において過去の大地震でも大きな被害を受けたものは少ない。」「RC造・ラーメン構造(柱と梁の接点が変形しにくい「剛」接合になっている構造)で、柱の帯筋間隔の規定が強化された昭和46年5月1日以前のマンションについては、耐力不足により柱がせん断破壊(柱中間部に斜めに大きなひび割れが生じるもので、地震の場合には、左右対称のX型ひび割れとなる)してしまうおそれがある。特に、高層マンションほどその可能性が高い。また、旧耐震基準の高層のRC造・ラーメン構造の場合は、中間の特定階のみが層崩壊(層全体が圧壊)するおそれがある。」
とあります。要するに「旧耐震でもそれほど高さがないRC造・壁式構造の建物の耐震性は比較的高いけど、ラーメン構造の建物の耐震性は低い」と私は理解しました。

また東日本大震災の被災例ではUR都市機構(旧日本住宅公団)が興味深いレポートを出しています。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震によるUR賃貸住宅の構造被害と今後の知見です。
これに「仙台市内に存在する壁式構造については全体の14%程度にひび割れ等が発生した程度であるが、一部においては耐力壁の破壊も見られた。ラーメン構造集合住宅は全てが昭和56年以前に建設されたものであり、9棟全てにおいて損傷した。そのほとんどが二次壁のせん断破壊あるいはひび割れであり、構造部材の被害は僅かであった。東京都を含む首都圏におけるRC系集合住宅では被害率は2から3%であり、壁式構造では0から1%で、ラーメン構造では5から7%程度となっている。」
こちらでもやはり壁式構造の強固さが指摘されています(一方で壁式構造といえども、多少は被害は出ているとも読めます。)

(社)高層住宅管理業協会が纏めた「東日本大震災の被災状況について」というレポートがあります。これは団地だけではなく旧耐震基準と新耐震基準のマンションの被災状況を比較したレポート。
「3.その他
1)耐震基準別の被害:旧・旧耐震基準、旧耐震基準、新耐震基準による建物の被害状況に阪神・淡路大震災のような経年数や耐震基準別の被災傾向はみられない。[表-3]
2)壁式構造とその他構造物との被害比較:壁式構造の被害が比較的小さいとの結果がでている。[表-4]」
直下型ではない東日本大震災だったからでしょうか、マンションの被災状況に旧耐震と新耐震で差が無かったというレポートです。また壁式構造がやはり堅固だったという内容です。
大阪府住宅供給公社賃貸住宅の耐震性能一覧表でも壁式構造がラーメン式構造と較べても堅固である事は見て取れます。

また地震時の被害は当然、地盤の影響もあるでしょう。国土交通省の「東日本大震災による公営住宅の被災状況ヒアリング調査」では「今回の地震の揺れによる建物への被害では人命にかかわるようなものは少なかった。住民が今も退避が必要な建物は、上部構造よりも杭、地盤の被害によるものが大部分である。上部構造では二次壁の被害が見られた。」とのこと。建物が堅固でも地盤が軟弱なら当然被害は生ずるということでしょうか。

内閣府は地震時の揺れやすさをマップ化して公表しています。また県や自治体も地盤の強さや液状化現象のハザードマップを公開しています。一概には言えませんが関東では埋立地や海沿い、川沿いの地盤はいろいろ危険性が高そうです。私が住む予定の東京西部~神奈川東部でいうと、多摩川沿いや沿岸の埋め立て部はちょっと避けたい。でもその辺の地盤の具合と地価や人気は一致していないようで、多摩川沿いの南北方向に走る南武線・東急多摩川線・大井町線沿いやそれに直行する横須賀線・東横線・田園都市線の交叉上が人気な街なのはちょっと意外です。あの辺は地震ではなくても真っ先に洪水で浸水してしまうような気がしますし、、、。これからは高度成長期の頃に造られた老朽化したインフラたちと付き合う時代になるので、最新の建築物はともかく老朽化団地狙いでかつ多摩川沿いに住むというのは避けたいかなと思いました。

この他にもいろいろ資料を見てみたりインターネットで調べたり、あれこれ考えます。私はこれらの情報から、旧耐震基準で建てられた建築物でも河川沿いや埋立地・低地では無い場所で、中層以下の壁式構造による建物ならそれなりに安全なのではないかと考えました。あくまで「それなり」の安全性です。同じ地盤なら最新の建築物のほうが耐震性が高いに決まっていますが、軟弱地盤上の最新の建造物と強固な地盤上の古い建築物では議論がありそうな気もします。古い物件は安さやその他の魅力もあります。結局、住む人本人がどう考えるかでしょう。

私は納得して、”旧耐震基準の建築物も有りだが、旧耐震基準の物を買うなら壁式構造で作られており、かつ埋立地や河川沿いといった水から近い土地に立地しているものを避ける”という条件で、団地を含めて新しい我が家を探すことにしました。

次回のエントリーでは、実際に家を買ったときの話を紹介したいと思います。

 

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