団地の購入検討に辺り耐震性について考えてみる~家を買う③~

先回のエントリーのような事情から家探しを始めて、団地型の住宅の購入も”有り”じゃないかと思い始めた私と妻。

物件探し!!~家を買う②~
先回エントリーのような状況で、我が家も家探しを開始することになりました。 家を探す観点・条件は簡単に言えば ・安い!(借金をあまり背負いたくない) ・駅から徒歩10分以内。出来ればフラットな地形。私の職場と妻の職場のいずれにもアクセスしやすい路線であること。 ・広くなくてもいいけど夫婦二人暮らしなので50m2くらいは欲しい。戸建てでもマン...

我が家で家を買うに当たって「団地」は重要なキーワードになるので少しイメージを書いておきます。

購入を検討する団地のイメージ

団地というのはwikipediaでも該当項目がありますが、まさしく箱型の4~5階建ての建物が私のイメージする「団地」。主に日本住宅公団(現UR都市機構)によって1950~70年代に建てられた昭和の香りが色濃く漂う建築物です(公団以外にもうちの社宅のような似たような団地型の建物もありますが。。。)。宮崎駿の映画「耳をすませば」の主人公が住んでいる家が団地ですね。小さい部屋にごちゃごちゃ物が詰め込まれて人が暮らしている感じ。

そして団地の購入を検討し始めてからほどなく出会ったサイトがこちら。

http://www.higashinihonjutaku.co.jp/

日本住宅公団が建てた団地売買を専門的に取り扱う会社である東日本住宅株式会社のサイト。こちらのサイトでは売りに出されているたくさんの団地が見られます。例えば1000万以下の部屋特集コーナーを見ると、200万円くらいから物件が見つかり、なかなか驚くべき価格で売買されています。

団地が安いのは当然理由があり、なんといってもその古さが最大の理由でしょう。なんせ昭和30年代から建て始められており、築40~50年クラスがざらにいます。どうせリフォームしてしまう予定なので、設備の古さはそれほど気にしていないのですが、東日本大震災を見ても、やはり耐震性という観点は気になります。

このような団地の耐震性はどの程度と考えればよいものか。私なりに考えました。

団地の耐震性

建築基準法は、改正されるたびに、つまり最近になるにつれ、より厳しい耐震性が求められるようになっていることは当然です。

特に昭和56年に耐震基準が大きく変わり、ここを境に建築物は旧耐震基準と新耐震基準に分類されており、中古マンションを買うなら新耐震を選ぶべきと言う方も非常に多いです。より安全な耐震基準を高めたものが新耐震基準ですから、この考えは当然です。

では、旧耐震基準時代に立てられた古い団地は大きな地震が来たら潰れてしまうのでしょうか。私も古い団地を購入しようかなと思ったので、その耐震性は気になり調べました。団地の購入を検討される方の参考になればと思い、そう考えるかまでに至った経緯を記しておきます。

結論から言えば以下に紹介する資料を基に、「構造や立地の考慮をすれば旧耐震基準時代に建てられた団地といっても、新耐震基準の建物と遜色の無い耐震性を持っているのではないか」と思っております。
(とはいえ、私も以下の内容に何ら責任は持てません。なお、この手の議論はインターネット上でも盛んに議論されています。)

まず鉄筋コンクリートで構成されるマンションや団地には壁式構造で構成される建物ラーメン構造で構成される建物に分類されます。

聴きなれない言葉ですが、壁式構造とは、柱梁が無く壁により建物を支える構造です。ラーメン構造は、柱と梁により構成されている構造です。壁式構造は壁で建物を支えるため、高層建築には向かず、5階建てくらいまでの建築に多く使われているそうな。

この建築物がラーメン構造と壁式構造のどちらで構成されているかというのは、古い建物の耐震性を判断する大きなのポイントになると考えます。より詳しく違いを知りたい方は「壁式構造 ラーメン構造」といった用語で検索してみてください。いくらでも解説したサイトが引っかかります。

国土交通省マンション耐震化マニュアルから

旧耐震基準と新耐震基準の違い

古いマンションの耐震性について、国土交通省が平成19年(平成22年・26年に改訂)に出した「マンション耐震化マニュアル」があります。

この1.1.2に

建築基準法施行令が昭和56年6月に改正され、耐震基準が変更されている(新耐震基準)。新耐震基準が適用される昭和56年以前に建設された旧耐震基準の分譲マンションの約106万戸については、耐震性能が劣っている可能性がある。なお、昭和46年1月に柱の帯筋間隔(鉄筋コンクリート柱の軸方向主鉄筋を取り囲むように、一定の間隔で帯状に巻く横方向の鉄筋の間隔)の規定が強化されており、それ以前のものについては特に要注意である。

とあります。やはり旧耐震時の建物の耐震性は低い可能性と、旧耐震でも昭和46年を境に規定が変わっているのということがわかります。

阪神大震災の被災事例から

同マニュアルに記載されている阪神大震災での被災事例からの分析では

中層の鉄筋コンクリート造(以下、「RC造」)・壁式構造やプレキャストコンクリート工法(以下、「PC工法」)の建物は、壁量が多いため、旧耐震基準のものでも一般に耐震性は高く、わが国において過去の大地震でも大きな被害を受けたものは少ない。RC造・ラーメン構造(柱と梁の接点が変形しにくい「剛」接合になっている構造)で、柱の帯筋間隔の規定が強化された昭和46年5月1日以前のマンションについては、耐力不足により柱がせん断破壊(柱中間部に斜めに大きなひび割れが生じるもので、地震の場合には、左右対称のX型ひび割れとなる)してしまうおそれがある。特に、高層マンションほどその可能性が高い。また、旧耐震基準の高層のRC造・ラーメン構造の場合は、中間の特定階のみが層崩壊(層全体が圧壊)するおそれがある。

とあります。要するに「旧耐震でもそれほど高さがないRC造・壁式構造の建物の耐震性は比較的高い。ラーメン構造の建物の耐震性は低い」と私は理解しました。

 

東日本大震災の被災事例から

東日本大震災の被災例ではUR都市機構(旧日本住宅公団)が興味深いレポートを出しています。「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震によるUR賃貸住宅の構造被害と今後の知見」です。
この中に

仙台市内に存在する壁式構造については全体の14%程度にひび割れ等が発生した程度であるが、一部においては耐力壁の破壊も見られた。ラーメン構造集合住宅は全てが昭和56年以前に建設されたものであり、9棟全てにおいて損傷した。そのほとんどが二次壁のせん断破壊あるいはひび割れであり、構造部材の被害は僅かであった。東京都を含む首都圏におけるRC系集合住宅では被害率は2から3%であり、壁式構造では0から1%で、ラーメン構造では5から7%程度となっている。

という記載があります。こちらでもやはり壁式構造の強固さが指摘されています(一方で壁式構造といえども、多少は被害は出ているとも読めます。)

他には(社)高層住宅管理業協会が纏めた「東日本大震災の被災状況について」というレポートがあります。これは団地だけではなく旧耐震基準と新耐震基準のマンションの被災状況を比較したレポート。

3.その他1)耐震基準別の被害:旧・旧耐震基準、旧耐震基準、新耐震基準による建物の被害状況に阪神・淡路大震災のような経年数や耐震基準別の被災傾向はみられない。[表-3]2)
壁式構造とその他構造物との被害比較:壁式構造の被害が比較的小さいとの結果がでている。[表-4]」

直下型ではない東日本大震災だったからでしょうか、マンションの被災状況に旧耐震と新耐震で差が無かったというレポートです。また壁式構造がやはり堅固だったという内容です。

大阪府住宅供給公社賃貸住宅の耐震性能一覧表でも壁式構造がラーメン式構造と較べても堅固である事は見て取れます。

東日本大震災では地震の被害は地盤も大きく影響した

また地震時の被害は当然、地盤の影響もあるでしょう。国土交通省の「東日本大震災による公営住宅の被災状況ヒアリング調査」では

今回の地震の揺れによる建物への被害では人命にかかわるようなものは少なかった。住民が今も退避が必要な建物は、上部構造よりも杭、地盤の被害によるものが大部分である。上部構造では二次壁の被害が見られた。

とのこと。建物が堅固でも地盤が軟弱なら当然被害は生ずるということでしょうか。

住んでしまったら土地を変えようがないのですが、政府は地震時の揺れやすさをマップ化して公表しています。→「地盤のゆれやすさ全国マップ

また県や自治体も地盤の強さや液状化現象のハザードマップを公開しています。

一概には言えませんが、関東では埋立地や海沿い、川沿いの地盤は危険性が高そうな傾向がありそうです。私が住む予定の東京西部~神奈川東部でいうと、多摩川沿いや海岸沿岸の埋め立て部は弱そうです。

旧耐震基準時代の団地でも新耐震基準をクリアする団地もある

もともと頑丈に作られている壁式構造の団地の中には、旧耐震基準時代に建てられていたとしても、新耐震基準をクリアする団地もあります。そのような団地の中には「新耐震基準を満たしますよー」ということを証する”耐震基準適合証明書”の発行を受けています。

この耐震基準適合証明書は結構重要で、耐震性の保証はもちろん、これがあると築25年以上の物件購入では本来受けることが出来ない住宅ローン減税の恩恵を受けられたり地震保険の掛け金が割り引かれたりなど種々のメリットがあります。

我が家も旧耐震基準時代の団地を購入するとしても”耐震基準適合証明書”の発行を受けている物件にしよう、ということで家探しをしました。

結論!

この他にもいろいろ資料を見てみたりインターネットで調べたり、あれこれ考えましたが、私はこれらの情報から、旧耐震基準で建てられた建築物でも河川沿いや埋立地・低地では無い場所で、中層以下の壁式構造による建物ならそれなりに安全ではないかと考えました。同じ地盤なら最新の建築物のほうが耐震性が高いに決まっていますが、軟弱地盤上の最新の建造物と強固な地盤上の古い建築物では議論がありそうな気もします。古い物件は安さやその他の魅力もあります。結局、住む人本人がどう考えるかでしょう。

さらに旧基準時代の建物でも、耐震基準適合証明書の発行を受けている建物ならひとまずは安心しても良さそうです。

私は納得して、”旧耐震基準の建築物も有りだが、旧耐震基準なら壁式構造で作られており、かつ耐震基準適合証明書の発行を受けている。さらに埋立地や河川沿いといった水から近い土地に立地しているものを避ける。”という条件で、新しい我が家を探すことにしました。

次回のエントリーでは、ついに家を買ったときの話を紹介したいと思います。

 

コメント